2021.09.27　　cookie 同意

日本では近年プライバシーの保護などが注目されるようになっています。個人情報法保護法が制定され、個人にまつわる情報が守られるようになっています。昭和の時代を振り返ってみると、現代の令和時代とは全く違う状況が自ずとわかってきます。昭和というと個人情報という概念が全くないに等しい時代で、芸能人の個人情報は簡単に雑誌やテレビなどで収集することが可能でした。昭和の女優や俳優などは、仕事とは関係ない日常生活まで新聞記者やワイドショーの記者に追跡されるのが当たり前でした。仕事の帰りにどのレストランによって食事をしているのか、どんな友達と飲み会をしているのか、彼氏や彼女とはどのくらい深いお付き合いであるかなど生活に密着してすべて取材されるわけです。そして俳優や女優と言った芸能人サイドも、好感度を下げてはいけないといった意識が強く、記者の取材に対して懇切丁寧に愛想を振りまきながら応えるのです。こうしたプライベートや日常の密着取材が嫌であれば、芸能人や公の人になるべきではないと糾弾もされていたんです。さらにはより深い個人情報を公開することもありました。女優のお宅拝見の取材も頻繁にあり、現代の様に住所や近隣の景色をモザイクで加工修正して見えなくするといったこともされません。東京都何区のどこのマンションか番地まですべて取材で公表されます。昭和の芸能人やスターはいとも簡単に自宅住所が多くの人々に公開され、個人情報の保護と言った観点など皆無でした。このことで様々な弊害があったのは言うまでもありません。熱狂的なファンが自宅住所を訪れ、一日中インターフォンが鳴りやまないといったことも当たり前でした。鍵のメンテナンス業者を呼び、スターの留守の間にカギを破壊して侵入することもざらにあったといわれています。さらにはお手伝いさんとして自宅に侵入し、凶悪な事件なども昭和には起こってしまいました。ある歌劇のトップスターの新婚夫婦の自宅に家政婦として潜り込み、夫婦の華麗でぜいたくな暮らしに嫉妬したり、自分に夫婦から愛情が注がれないという歪なやっかみから、夫婦の間に生まれた子供を家政婦があやめるという事件も起こってしまいました。こうした芸能人たちのプライバシーの侵害や、それに伴う事件や事故が頻発し、こうしたことは平成初めまで良く見受けられたんです。このような個人情報の漏洩などは芸能人というスターたちに限ったことではありませんでした。昭和の時代には、小学校や中学校でクラス替えのたびにクラスメイト全員の自宅住所、電話番号、保護者の氏名のリストが配布され、情報が共有されていました。母子家庭の人にとっては保護者が女性の名前になっていて、不快な気分になった学生も多かったことでしょう。こうした個人宅を特定できるリストが配布されることで、一般の人でもストーカー被害にあうなどが頻発し、社会問題となりました。こうした背景も一因となって、個人情報保護法で個人のプライバシーにかかわる情報公開を公にせず、守るということが日本でも本格化していったのです。しかしながら個人情報保護法が制定されたからと言って、個人の情報が盗み取られなくなったかというと決してそうではありません。スーパーやコンビニエンスストアでクレジットカード決済やポイントカードを利用すると、すべてその情報がＰＯＳシステムに集約されています。つまりカード類を使用することで、その消費者が何を何時何分に買っているのか、どれぐらいの量を買うのか、どんな嗜好傾向があるのかなど情報が抜き取られています。その情報をもとに、スーパーやコンビニエンスストアは仕入れ量を調整したり、販促活動の参考にしたり、広告チラシやネットでの宣伝を効果的に配信するといったことを行ってるわけです。つまり個人情報が企業の利益追求のために利用されているといっても過言ではありません。こうした傾向はネットにおいてさらにみられるようになっています。ネット検索すると同意なしでCookieが利用されています。Cookieでは閲覧サイトや利用サイトの履歴が保存され、柚木にそのサイトを閲覧する際には続きが簡単に閲覧できユーザーにとっては便利なツールです。しかし同意なしのCookieでは、同意なしに何を閲覧したか、どんなことの興味関心があるか、どれくらいの頻度で閲覧しているかなどユーザーの情報が抜き取られているのは紛れもない事実です。それらの個人情報データが利用され、巨大ITプラットフォーマーや多くの企業の営利目的に活用され、宣伝広告がなされているのも事実であり、これが問題になっています。そこで公正取引委員会が独占禁止法などの観点からCookieの利用を規制するようになりました。Ｗｅｂサイトを閲覧したときには、多くのサイトCookie使用同意のためのポップアップが表示されるようになったのです。しかし、中にはサイト閲覧におけるCookie使用同意のためのポップアップを意図的に表示しないサイトも存在しています。これをどう対応するべきかがネットユーザーや政府、国際社会での大きな課題になっています。